たこ焼き小僧珍道中 Vol.1

「ぼく、大きくなったらたこ焼き屋になります!」。

 

この言葉で、そこにいた人たちの大きな笑い声が巻き起こった。

ぼくはそのまま父から廊下に引っ張りだされて頭をぶっ叩かれた。

 

「おまえはもうちょっとましなことが言えんのか!」

 

しかし、いくら言われたって、ぼくは本気だった。

この出来事は、今からちょうど30年前、11歳のときの親族の集まりの場所でのことだった。

 

僕の父は9人兄弟の末っ子。

一番上のお姉さんとは年が20こ離れていて、お姉さんの息子と父は一つ違い、つまり一歳でおじさんになってしまったということになるが、当時は8人、9人兄弟という家はけっこう多く、そのサザエさんのような不思議な家族構成は珍しいものではなかったらしい。

 

そんな感じで9人兄弟の配偶者や子供たちが集まると、まるで一つの教室のようになる。その場所で子供たちが並んで子供たちが将来の夢を語るという設定になったのだ。僕の父は一番末っ子だから、僕も年齢順で言うと、最後の方になる。

 

「医者になる」「お父さんの跡継ぎをする」

 

色んな夢をみんなが大きな声で発表する中で、僕の順番が回って来た。そして冒頭に書いた夢を誰にも負けないくらい大きな声で叫んだら、なぜか大笑いされてしまったのだった。