自分に起こるすべては必然

 

新しい週が始まりましたね。今週もいい1週間を始めましょう。さて、先日から3回に分けた小久保監督の講演録もこれで最後になります。大きな気づきをいただいたポイントの最後の二つを紹介します。

 

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①努力する意味

 

小久保さんは青山学院大学を出て、そのままドラフト2位でダイエーホークス(現在のソフトバンクホークス)に入団し、数年で打点王、ホームラン王というとんでもない成績をたたき出しました。よくあるパターンですが、20代前半で周りはちやほや、例外なく「世の中は自分を中心に回っている」と信じ込んでしまうくらいの天狗になっていたそうです。これはよくあるパターンですよね。

 

しかし世の中は、しかも特にスポーツの世界はそのままいかせてくれるほど甘くはありません。ホームラン王になった翌年から、成績がさっぱりになってしまったそうです。

 

そんなスランプの中、日米野球のオールスターで選手に選ばれたことで、小久保さんはイチローと同じチームになりました。

 

「なんで打てないんだろう?」

「記録を出さないとこの世界ではやってはいけない」

「モチベーションが上がらない」

 

そんなことばかり考えていたチーム練習の時に、ひときわ輝いていた選手、それがまだイチローでした。

 

「なんでこいつはこんなに心の軸がぶれないんだろう」

 

単純にそんな疑問を持った小久保さんは、ランニングで並んで走るイチローにこう聞きました。

 

「なあ、イチローってモチベーション下がることってないの」

「モチベーション?小久保さんどうしたんですか?」

「いや、まったく記録が伸びなくてな。そんなときイチローはどうしてモチベーションをあげてるのかなと思って」

 

するとイチローは小久保さんの顔を真剣に見てこう聞いてきました。

 

「あの、こんなことを聞いたら失礼かもしれませんが、小久保さんは記録のために野球をやってるんですか?」

「記録って…。それだけじゃないけど、結果出さないとプロの世界ではやっていけないから大切だよ。お前は違うの?」

 

するとイチローは自分の胸に手を当ててこう言ったそうです。

 

 

「記録はたしかに大切かもしれません。でも僕は野球を通して自分の中にある『心の原石を磨いてるんです』。だから結果より大切なことは、野球に打ち込むことで自分自身をどこまで光らせていくことができるかってことなんです」

 

 

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この返答に小久保さんは、天狗になった挙句、結果ばかりにとらわれて一喜一憂していた自分自身が恥ずかしくなったと講演の中で言っていました。

 

野球だけではなく、ビジネスにおいても結果は大切です。これは間違いありません。しかし、もっと大切なことは、何かに一生懸命打ち込むことで、人の心は磨かれます。毎日をただダラダラと過ごしている人と、大小関係なく何かの目標立ててそこに向かって努力する人とでは向上、成長がまったく違います。そして何か一つに徹底的に打ち込んで成功した経験を持つ人間は、そのあとの人生でも確実に結果を出します。一番まずいのが中途半端で投げ出すということ。

 

これはすごく簡単かつシンプルな原則ではありますが、何かに真剣に打ち込むことはとても大切なことです。「本気で生きる」なんていう言葉は、ある意味「そんなこと誰でもわかってるさ」と言われがちな現代ではありますが、やっぱり古今東西変わらない真理なのだと思います。今からでも遅くはありません。何かたった一つだけでも極めてみませんか?

 

 

②全ては必然

 

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何か不運に見舞われた時、

 

「なんでこのタイミングなんだ?」

「あと1日遅ければこんなことにならなかったのに」

 

と思わず心の中で思ってしまいます。小久保さんは現役時代、ケガで8回の手術を受けました。一番激しい時はホームベースでのキャッチャーとの接触で、膝の靭帯を二本切断するという大ケガをしてしまいました。その手術とリハビリのためにアメリカに渡り、そこで一年を過ごしました。当たり前のように、「なんでこんな時期に」と運命を呪ったといいます。

 

そんな暗闇の中、本来読書家だった小久保さんはある一冊の本に出会います。それは、今は亡き船井幸雄先生の書いた本でした。そこから小久保さんは船井先生の本を読みあさるようになりました。リハビリで時間はあります。その時間を読書にあてることができたのです。これをきっかけに「球界一の読書家、小久保裕紀」が誕生しました。あとで思えばまさに「ケガの光明」だったのです。

 

数々の本の中で船井先生がなんども言っている言葉がありました。それは、

 

 

「自分に起きることはすべて『必然』『必要』『ベスト』である」

 

 

ということ。

 

 

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この言葉、僕は初めて聞く言葉ではありませんでした。「本当かよ?」と疑っていた方でした。

 

しかし、その言葉はその日の僕にとって一番心に刺さりました。それは、母が死んでまだその心の傷が癒えてなかったからでした。

 

「なんでこんなに早く死んだんだ?」

「あと1日仕事の日程がずれていれば死に目に会えたのに」

 

と心の中でずっと考えていたからです。小久保さんからこの言葉を聞いた時、昔、あるお坊さんから言われた言葉を思い出しました。

 

「親は子供にとって必要なメッセージだけを残し、子供にとってベストのタイミングでこの世からいなくなる」。

 

正直、きついときに、すぐに「これも必然必要ベスト」なんて言えないし思えないかもしれません。だってきついんですから。いくら頭でわかっても感情がついてこないこともあると思います。正直、今の僕も心の中の半分はそんな感じです。

 

しかし、いつかあなたが自分の人生を振り返った時に、「あの日、あのタイミングであのことが起きなかったら人生は大きく変わっていた」ということは必ずあるはずです。

 

そしてもう一つこの「必然」について語っている言葉を、偶然にもこの講演と同じ日にYouTubeで目にしました。それは筑波大学で遺伝子の研究をされているノーベル賞受賞者である村上和雄先生の講演の中でこんな話をされていました。

 

 

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「人生の出会いと別れのときは、一瞬早くもなく、一瞬遅くもなくその人にとってベストのタイミングでその人の前に現れる。出会いも別れもすべて必然」

 

 

こうして書かせてもらっていても、すべてのことが必然なのかどうなのかは僕にはまだわかりません。しかし、以前よりこの言葉の意味が理解できるようにはなってきたんじゃないかなと思います。

 

「目の前に起きている出来事は、すべて自分を成長させるためにある。

 

できる限り目の前にいてくれる人を大切にしよう。なぜならその人とこうして会えるのは、ひょっとするとそれが人生で最後になるかもしれないから。

 

目の前に起きていること、目の前のやるべきこと、そして目の前にいてくれる人を大切にしていこう。

 

僕にとって母の死を無駄にすることなく、意味のあるものにしていくんだ」

 

 

そう再決意することができました。

 

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一会全力。僕がなんとなく作って人に伝えてきた言葉。

 

 

その意味を深めてくれたとても有意義な講演でした。小久保監督、素晴らしい気づきを本当にありがとうございました。どこまでまとまったかはよくわかりませんが、この講演のまとめが一つでもあなたのお役に立てますように。

 

いつも読んでくださってありがとうございます。